海水浴 安井純星
浜近くの駅に下りると、
すぐに砂地の畠へ出る。
じゃがいもの美しい花を
見るまもなく、
波の音に心をとらわれる。
松の木の間から、
白い波がさわいでいるのを見ると、
もうおいたっ子が走ってゆく。
ああぼくも走ってゆきたいな、
けれども、
あんな知らない大勢の中へ、
ひとりでいったら、
迷子になるかもしれん。
おかあさんとねえさんと笑いながら、
離しているのは歯がゆいものだ。
赤い鳥代表作集 全三巻(初期、中期、後期)の中から、”童謡の部”に書かれている詩をアップしています。