2007年9月17日月曜日

ありの巣

ありの巣    松本篤造

新しい巣穴から、
ありがあとからあとから出て来る。
どのありも自分の頭ほどの
土をくわえては入口の外へ出す。
どのありもいそがしそうだ、
それで、
いかにも楽しそうだ。
そうだ、
ありたちはうれしいのだ。
早くその新しい、
大きな御殿へ入りたいのだ・・・・・。

大きな広間がある。
真中に円柱が二三本立っている。
その室の中には、
涼しい色の夏の衣装が、
軽げにかかっている。
料理部屋がある、
いい香りのする、
つやつやした、
花蜜の樽がある、
すみきった
ぼたんの露の瓶もある・・・・・。


そんな御殿を作るためだもの、
ありは楽しいのだ、
いそがしいのだ、
お日さままで真上で、
にこにこ見ていらっしゃる。