2007年9月13日木曜日

吹雪の晩

吹雪の晩    北原白秋

吹雪の晩です、夜ふけです。
どこかで夜鴨がないてます。
燈もチラチラ見えてます。

私は見てます、待ってます。
何だかそわそわ待たれます。
内では時計も鳴ってます。

鈴です、鳴ります、聞こえます。
あれあれ、そりです、もう来ます。
いえいえ、風です、吹雪です。

それでも見てます、待ってます。
何かが来るよな気がします。
遠くで夜鴨がないてます。

2007年9月1日土曜日

跳ね橋

跳ね橋    北原白秋

はね橋のむこうに、
黄色い月があぁがった、
川土手をゆこうよ。

はね橋があがれば、
帆をまき帆をまき、ぎぃいちこ
帆ばしらがとおるよ。

はね橋がおりれば、
乾草車がかぁらころ
白い馬がつづくよ。

はね橋のしもには、
灯が水にちらちら、
ハアモニカをふこうよ。

かくれんぼ

かくれんぼ    西条八十

おもいだすのは
かくれんぼ。

待てどくらせど
来ぬ鬼に、

さびしい納屋の、
連子から

そっとのぞけば
裏庭の

柿の木にいた
みそさざい。

お清書

お清書    西条八十

空のお清書
今夜は満天、
まるい、大きな
お月さま。

空のお清書
今夜はばっ点、
雁がななめに
十文字。

まいまいつぶろ

まいまいつぶろ    北原白秋

緑の殻は、
冷たい殻は、
生まれて直ぐか。
まいまいつぶろ、
まだ角若い。

雨、雨、やめよ、
まだ雨痛い。
一つの角で、
お父さんどこぞ。
一つの角で、
お母さんどこぞ。

仲よし小よし

仲よし小よし    西条八十

仲よし小よし、
朝のパン
ふとった兄弟が
一斤二斤、
しっかりくっつき
切らなきゃ離れぬ、
仲よし小よし。

仲よし小よし
莢豌豆、
莢のなかには
親子が五人
ずらりとならんで
食べなきゃ別れぬ、
仲よし小よし。

お山の大将

お山の大将    西条八十

お山の大将
おれひとり、
あとから来るもの
つき落とせ。

ころげて、落ちて、
またのぼる
あかい夕日の
丘の上。

子ども四人が
青草に
遊びつかれて
散りゆけば。

お山の大将
月ひとつ、
あとから来るもの
夜ばかり。