あわて床屋 北原白秋
春は早ようから川辺の葦に、
かにが店だし、床屋でござる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
小がにぶつぶつ石鹸をとかし、
おやじじまんで鋏をならす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
そこへうさぎがお客にござる。
どうぞ急いで髪かっておくれ。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ気がせく、かにぁあわてるし、
早く早くと客ぁつめこむし。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
じゃまなお耳はぴょこぴょこするし、
そこであわててチョンと切りおとす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ怒るし、かにぁはじかくし、
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
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