ありの巣 松本篤造
新しい巣穴から、
ありがあとからあとから出て来る。
どのありも自分の頭ほどの
土をくわえては入口の外へ出す。
どのありもいそがしそうだ、
それで、
いかにも楽しそうだ。
そうだ、
ありたちはうれしいのだ。
早くその新しい、
大きな御殿へ入りたいのだ・・・・・。
大きな広間がある。
真中に円柱が二三本立っている。
その室の中には、
涼しい色の夏の衣装が、
軽げにかかっている。
料理部屋がある、
いい香りのする、
つやつやした、
花蜜の樽がある、
すみきった
ぼたんの露の瓶もある・・・・・。
そんな御殿を作るためだもの、
ありは楽しいのだ、
いそがしいのだ、
お日さままで真上で、
にこにこ見ていらっしゃる。
2007年9月17日月曜日
2007年9月15日土曜日
子どもの村
子どもの村 北原白秋
子どもの村は子どもで作ろ、
みんなで作ろ。
赤屋根、小屋根、ちらちらさせて、
みんなで住もうよ。
子どもの村は垣根なぞよそよ。
ほんとによそよ。
草花、野菜、あっちこっちうえて、
すず風、小風。
子どもの村は子どもで決めよ、
みんなで決めよ。
村長さんをひとり、みんなで選び、
みんなでかわろ。
子どもの村は早起きばかり。
こけっこと起きて。
朝のうち、御本、お午から外へ、
はたらいて歌おう。
子どもの村は子どもで護(まも)ろう、
みんなで護(まも)ろう。
てんでの仕事、てんでにわけて、
みんなではげもう。
子どもの村は仲良しこよし、
いさかいせずに。
てんでに助け、てんでに仕え、
楽しんで遊ぼう。
子どもの村はお伽の村よ、
夢の里よ。
星の夜、話。月の夜、お笛。
すやすやねよよ。
子どもの村はいつでも子ども、
いつでも春よ。
子どもの祭、おてんとさんの神輿。
わっしょ、わっしょ、わっしょな。
子どもの村は子どもで作ろ、
みんなで作ろ。
赤屋根、小屋根、ちらちらさせて、
みんなで住もうよ。
子どもの村は垣根なぞよそよ。
ほんとによそよ。
草花、野菜、あっちこっちうえて、
すず風、小風。
子どもの村は子どもで決めよ、
みんなで決めよ。
村長さんをひとり、みんなで選び、
みんなでかわろ。
子どもの村は早起きばかり。
こけっこと起きて。
朝のうち、御本、お午から外へ、
はたらいて歌おう。
子どもの村は子どもで護(まも)ろう、
みんなで護(まも)ろう。
てんでの仕事、てんでにわけて、
みんなではげもう。
子どもの村は仲良しこよし、
いさかいせずに。
てんでに助け、てんでに仕え、
楽しんで遊ぼう。
子どもの村はお伽の村よ、
夢の里よ。
星の夜、話。月の夜、お笛。
すやすやねよよ。
子どもの村はいつでも子ども、
いつでも春よ。
子どもの祭、おてんとさんの神輿。
わっしょ、わっしょ、わっしょな。
2007年9月13日木曜日
りんりんりんごの
りんりんりんごの 北原白秋
りんりんりんごの木の下に
小さなお家を建てましょか、
そしたら、小さな窓あけて、
窓から青空見てましょか。
りんりんりんごがなったなら
つぐみもちらほらまいりましょ。
丘から丘へと荷をつけて、
商人なんぞも通りましょ。
りんりんりんごに雪がふり
一夜に真白くつもったら、
それこそ、暖炉(ストーブ)もしつけて、
朝から食堂もひらきましょ。
りんりんりんごは焼きましょか、
むかずに皿ごとあげましょか、
お客はだれやら知りゃせぬが、
今にも見えそな旅のひと。
りんりんりんごの木の下に
小さなお家を建てましょか、
窓から青空見てましょか、
遠くの遠くを見てましょか。
りんりんりんごの木の下に
小さなお家を建てましょか、
そしたら、小さな窓あけて、
窓から青空見てましょか。
りんりんりんごがなったなら
つぐみもちらほらまいりましょ。
丘から丘へと荷をつけて、
商人なんぞも通りましょ。
りんりんりんごに雪がふり
一夜に真白くつもったら、
それこそ、暖炉(ストーブ)もしつけて、
朝から食堂もひらきましょ。
りんりんりんごは焼きましょか、
むかずに皿ごとあげましょか、
お客はだれやら知りゃせぬが、
今にも見えそな旅のひと。
りんりんりんごの木の下に
小さなお家を建てましょか、
窓から青空見てましょか、
遠くの遠くを見てましょか。
2007年9月1日土曜日
2007年8月30日木曜日
お菓子の家
お菓子の家 西条八十
山のおくの谿あいに
きれいなお菓子の家がある。
門の柱はあめんぼう、
屋根の瓦はチョコレイト、
左右の壁は麦らくがん、
ふむ敷石がビスケット。
あつく黄色い鎧戸も
おせばこぼれるカステイラ、
静かに午をしらせるは
金平糖の角時計。
たれの家やら知らねども
月の夜更けにおとずれて、
門の扉におぼろげな
二行の文字を読みゆけば。ーーーー
「ここにとまってよいものは
ふたおやのないこどもだけ」
山のおくの谿あいに
きれいなお菓子の家がある。
門の柱はあめんぼう、
屋根の瓦はチョコレイト、
左右の壁は麦らくがん、
ふむ敷石がビスケット。
あつく黄色い鎧戸も
おせばこぼれるカステイラ、
静かに午をしらせるは
金平糖の角時計。
たれの家やら知らねども
月の夜更けにおとずれて、
門の扉におぼろげな
二行の文字を読みゆけば。ーーーー
「ここにとまってよいものは
ふたおやのないこどもだけ」
2007年8月29日水曜日
あわて床屋
あわて床屋 北原白秋
春は早ようから川辺の葦に、
かにが店だし、床屋でござる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
小がにぶつぶつ石鹸をとかし、
おやじじまんで鋏をならす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
そこへうさぎがお客にござる。
どうぞ急いで髪かっておくれ。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ気がせく、かにぁあわてるし、
早く早くと客ぁつめこむし。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
じゃまなお耳はぴょこぴょこするし、
そこであわててチョンと切りおとす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ怒るし、かにぁはじかくし、
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
春は早ようから川辺の葦に、
かにが店だし、床屋でござる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
小がにぶつぶつ石鹸をとかし、
おやじじまんで鋏をならす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
そこへうさぎがお客にござる。
どうぞ急いで髪かっておくれ。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ気がせく、かにぁあわてるし、
早く早くと客ぁつめこむし。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
じゃまなお耳はぴょこぴょこするし、
そこであわててチョンと切りおとす。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
うさぎぁ怒るし、かにぁはじかくし、
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
しかたなくなく穴へとにげる。
チョッキン、チョッキン、チョッキンナ。
お祭り
お祭り 北原白秋
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
祭りだ、祭りだ。
背中に花笠、
胸には腹掛、
むこう鉢巻、そろいのはっぴで、
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
神輿だ、神輿だ。
山椒は粒でも、ピリっと辛いぞ、
これでも勇みの山王の氏子だ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
真っ赤だ、真っ赤だ、夕やけ小やけだ。
しっかりかついだ。
あしたも天気だ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
おいらの神輿だ。死んでも離すな。
泣き虫ゃすっ飛べ。差上げて廻した。
もめ、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
廻すぞ、廻すぞ、
金魚屋にげろ、銀魚屋もにげろ。
ぶつかったってしらぬぞ。
そら、どけ、どけ、どけ。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
子供の祭りだ、
ちょうちんつけろ、
御神燈つけろ、
十五夜お月様まんまるだ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
あの声どこだ。
あの笛なんだ。
あっちも祭りだ。
こっちも祭りだ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
祭りだ、祭りだ。
山王の祭りだ。子供の祭りだ。
お月様紅いぞ、御神燈も赤いぞ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
祭りだ、祭りだ。
背中に花笠、
胸には腹掛、
むこう鉢巻、そろいのはっぴで、
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
神輿だ、神輿だ。
山椒は粒でも、ピリっと辛いぞ、
これでも勇みの山王の氏子だ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
真っ赤だ、真っ赤だ、夕やけ小やけだ。
しっかりかついだ。
あしたも天気だ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
おいらの神輿だ。死んでも離すな。
泣き虫ゃすっ飛べ。差上げて廻した。
もめ、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
廻すぞ、廻すぞ、
金魚屋にげろ、銀魚屋もにげろ。
ぶつかったってしらぬぞ。
そら、どけ、どけ、どけ。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
子供の祭りだ、
ちょうちんつけろ、
御神燈つけろ、
十五夜お月様まんまるだ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
あの声どこだ。
あの笛なんだ。
あっちも祭りだ。
こっちも祭りだ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
わっしょい、わっしょい、
わっしょい、わっしょい。
祭りだ、祭りだ。
山王の祭りだ。子供の祭りだ。
お月様紅いぞ、御神燈も赤いぞ。
そら、もめ、もめ、もめ。
わっしょい、わっしょい。
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